箱根と富士 — 火の山がつくった風景
箱根と富士 — 二つの火山がつくった地形と、そこに人が置いてきた美術館、宮家の別邸、茅葺の集落を巡る2泊3日の旅
- 日数: 2泊3日(10:00開始)
- 料金: お問い合わせ
- 出発地: 東京都内ホテル発/小田原駅着
旅の概要
箱根も富士も、火からできた山です。箱根は約40万年前から活動を続けるカルデラ火山で、その最後の大崩壊が芦ノ湖と大涌谷をつくりました。富士は今も国の常時観測対象であり、五合目から上は古来、登拝の領域とされてきました。二つの火山のあいだに、美術館、宮家の別邸、茅葺の集落が置かれています。
この2泊3日は、その地形と、そこに人が置いてきたものを順に見ていく旅です。初日は箱根の二つの美術館と噴気の谷を巡り、渓谷の底に建つ全9棟の邸宅に滞在します。二日目は森林限界の高さまで登り、失われた染色技法を独力でつくり直した染色家の美術館と、一度壊滅して建て直された集落を訪ねます。
ツアー開始:10:00/2泊3日。専属ドライバー付き車両、専属ガイドで催行。
ルート:東京 → 彫刻の森美術館 → 懐石料理 花壇(旧閑院宮別邸) → 大涌谷 → ポーラ美術館 → エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍(宿泊) → 富士スバルライン五合目 → 久保田一竹美術館 → 西湖いやしの里根場 → 箱根 エスパシオ (宿泊) → 小田原駅
ハイライト
- 彫刻の森 — 山を背景に置かれた美術館 — 1969年、彫刻家・井上武吉の設計で開館した日本初の野外美術館。約7万㎡の起伏に約120点が置かれ、ヘンリー・ムーアやロダンが箱根連山を背景に立ちます。1984年開設のピカソ館は所蔵319点。
- ポーラ美術館 — 森に埋められた建築 — 2002年開館。設計は日建設計(担当・安田幸一)。地上高を8mに抑え、延床の大半を地下に沈めて樹林に埋めた建築です。鈴木常司が40数年で集めた約1万点を収蔵し、印象派は日本最大級。
- 大涌谷 — 神山が崩れた跡 — 約3,000年前、箱根最高峰・神山(1,438)の北斜面が大崩壊してできた谷。押し出された土砂が早川を堰き止め、芦ノ湖が生まれました。かつては「大地獄」と呼ばれ、1873年に改称されています。
- 富士五合目 — 森林限界の高さ — 標高約2,300m。1964年開通の富士スバルラインが約30kmで標高差1,200mを登り、針葉樹が姿を消す森林限界まで導きます。ここから上は、古くから登拝の領域とされてきた場所です。
- 久保田一竹美術館 — 一竹辻が花 — 室町期に栄え途絶えた辻が花に20歳で出会い、60歳で独自の「一竹辻が花」を完成させた久保田一竹(1917–2003)の美術館。本館はヒバの大黒柱16本を組んだ高さ13mのピラミッド状木組み。
- 西湖いやしの里 — 建て直された集落 — 1966年9月25日未明の土石流で、兜造りの茅葺集落は壊滅し94名が犠牲となりました。跡地では2006年から再建が進み、現在20棟。保存ではなく再現された集落であることが、この場所の意味です。
日程
Day 1 — A Day in Hakone — 火の山の懐へ
美術館二館と、宮家の別邸と、噴気の谷
- 10:00 東京出発
専属ドライバー付き車両で都内ホテルを出発します。約2時間で箱根の山中へ。 - 11:45 彫刻の森美術館
屋外へ出れば、彫刻は展示室を離れ、箱根の自然そのものとひとつになります。作品の向こうに幾重にも連なる山々、木々のざわめき、光の移ろい——。自然の中で彫刻と向き合う、ここでしかできない特別な鑑賞体験です。 - 13:15 懐石料理 花壇(旧閑院宮別邸)
昭和5年、閑院宮載仁親王の夏の別邸として建てられた館です。外観はハーフティンバー方式、内装はアールデコ。ベル・エポック期のフランスに留学された宮様の趣味が、今も窓枠や照明に残っています。かつて晩餐会が開かれたダイニングで、相模湾・駿河湾の魚介を用いた月替わりの懐石を。 - 15:00 大涌谷
車を降りると、まず硫化水素の匂いが届きます。植物が育たない硫気荒原と、赤茶けた崩壊面。ここが神山の崩れた跡だと知ってから見ると、風景の意味が変わります。名物の黒たまごは、一つ食べると寿命が七年延びると言われています。 - 16:00 ポーラ美術館
ブリッジを渡り、ガラスのエントランスから地下へ。地上に現れるのはわずか約8mで、建物の大部分は箱根の森に埋め込まれています。展示室を巡った後に外へ出ると、そこにあるのは「森の中に建てられた美術館」ではなく、森と一体となるよう設計された建築そのものだと気づきます。 - 17:15 エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍
専用の渓谷電車で高低差約100mを下り、堂ヶ島の谷底へ。全9棟の邸宅型で、聞こえるのは早川のせせらぎだけです。各棟に堂ヶ島温泉の湯を引いています。 - 19:00 夕食・温泉
谷の底で、川音を聞きながらの夕食。湯に入れば、昼に見てきた大涌谷の地下水脈が、そのままここまで届いていることが分かります。ご希望により、箱根湯本の芸妓をお呼びし、邸宅にて舞と唄をご覧いただけます。茶事の設えも承ります(いずれも事前のご予約が必要です)。
Day 2 — A Day at Mount Fuji — 森林限界と、麓の集落
標高2,300mから、茅葺の里へ
- 10:00 箱根出発
御殿場を経由し、約1時間45分で富士北麓へ。車窓の富士は、近づくほど大きくなりません。裾野が広すぎるためです。 - 11:30 富士スバルライン五合目
専用車で富士山をゆっくりと上っていくと、標高とともに森の景色が変わり、空気は次第に澄み、冷たくなっていきます。晴れた日には標高2,300m付近から雲海や遠くの山々を望むことも。古くから信仰の対象とされてきた霊峰・富士山。その懐深くへ分け入ることで、ただ景色を楽しむだけではない、静かで特別な時間を味わいます。
※天候・道路状況により、訪問地点をより低い標高に変更、または安全を最優先して中止する場合があります。 - 13:00 河口湖畔にて昼食
湖畔のレストランで、地の食材を用いた昼食を。 - 14:30 久保田一竹美術館
中央の舞台に並ぶ着物は、一枚ごとに完結した作品ではありません。数十枚が横につながり、ひとつの壮大な風景を描く連作です。ここで出会うのは、久保田一竹が生涯をかけて描き続けた未完の大作「光響 ― 富士」。富士山を軸に、光と色の移ろいを着物の上に描き出すその壮大な構想は、未完のまま、今もなお見る人の想像の中で広がり続けています。
本館奥の「一竹庵」では、龍門の滝を望む静かな空間で、季節の上生菓子と抹茶をいただきます。 - 16:00 西湖いやしの里根場
兜造りの茅葺が並ぶ、静かな集落です。ただしこの家々は古いものではありません。1966年9月25日未明の土石流でこの集落は壊滅。園内の砂防資料館には、災害前の「日本一美しい」と言われた集落の写真が残っています。四十年後、同じ地面の上に建て直された20棟を歩きます。 - 19:00 箱根帰着・夕食
谷へ戻り、夕食と温泉を。翌朝、富士を望むガイド付きハイキングをご希望の場合事前にご相談ください。
Day 3 — Departure — 次の旅へ
谷を出て、西へ
- 10:00 チェックアウト
旅の最終日は、ホテルで朝食を楽しみ、温泉でゆっくりと余韻を味わう時間から始まります。チェックアウト後は専属ドライバーが小田原駅までお見送りし、京都・大阪へ。そのまま東京のホテルへ向かわれる場合は、専用車での送迎も承ります。さらに、ご希望に応じて関西方面へのプライベートヘリコプターも手配可能です。
MADE AND REMADE
つくり直された風景 — 箱根と富士のあいだで
箱根も富士も、火でできた山です。
約3,000年前、神山の北斜面が崩れました。押し出された土砂が早川を堰き止め、芦ノ湖になった。崩れた跡が大涌谷で、今も硫化水素を含んだ蒸気が吹き出しています。壊れることで、湖と谷が同時に生まれた場所です。
1966年9月25日の未明、西湖のほとりの根場でも山腹が崩れ、集落を直撃しました。約40戸の茅葺屋根が消えた。四十年後、人々は同じ地面の上に茅葺を建て直しはじめ、いまは20棟が並んでいます。
久保田一竹は、二十歳のときに室町で途絶えた辻が花の断片に出会い、六十歳で自分の辻が花を完成させました。復元ではなく、つくり直しです。
失うことと建て直すことが、ここでは同じ地面の上で起きている。二日間、そのどちらも同じ視界のなかにあります。
追加可能オプション
- 邸宅での芸妓のお座敷 — 箱根湯本の芸妓による舞と唄(事前予約制)
- 東京湾から熱海への専用クルーザー — 初日を海路で(事前予約制)
- 客室または茶室での茶事
- 大涌谷自然研究路の散策(事前予約制)
- 富士山を望むガイド付きハイキング
- 甲州のワイナリー訪問・葡萄狩り(例年8月〜10月頃)
- ESPACIO SPA(BAMFORD)のトリートメント
- 関西へのプライベートヘリコプター(3日目)
海から入る場合 — 初日を東京湾からのクルーザーで
初日を専用クルーザーで始めることもできます。この場合、ポーラ美術館は3日目午前に移ります。
- 08:30 東京湾出航 — 桟橋から専用クルーザーで出航します。羽田の離着陸を右手に見送り、房総半島と三浦半島のあいだを抜けて相模灘へ。
- 11:30 熱海入港 — 海側から近づく熱海は、山が海際まで迫っているのがよく分かります。専属ドライバー付き車両にお乗り換えいただき、湯河原から箱根の山中へ。
- 13:00 懐石料理 花壇(旧閑院宮別邸)
- 14:45 彫刻の森美術館
- 16:15 大涌谷
- 17:15 エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍 着 — 以降、夕食・温泉・芸妓は陸路の場合と同じです。
- 3日目 09:00 ポーラ美術館(開館と同時に) / 11:00 仙石原から乙女峠を越えて御殿場へ、そのまま京都・大阪へ
※時刻は目安です。船の速力と使用桟橋により前後いたします。
実用情報
- 開始時刻/所要時間
- 10:00/2泊3日
- 料金に含まれるもの
- ・専属ドライバー付き車両
・専属ガイドの同行 (3日目以外)
・入場料
※本ツアー料金にはお食事、追加オプション料金は含まれていませんので、あらかじめご了承くださいませ
※大涌谷は活火山の園地です。火山ガス濃度や噴火警戒レベルにより、当日立ち入りが制限される場合があります
※富士スバルラインでは夏季にマイカー規制が実施されます(2026年は7月3日18時〜9月10日18時)。ハイヤー・タクシーは規制対象外のため、期間中も専属車両のまま五合目へ向かえます。冬季は積雪により通行可能区間が変わる場合があります。